夢のあとさき時雨れの前

流れる、水の音に絆されて
気付く様子を、隠した風景
はい、と、いつものように
見過ごすのはだれでしょう

枇杷の音色が聞こえる様な
今夜の月は天空の思し召し
うん、と、飾らないままに
降りて来るのは羽衣を拭い

果ての有る無しの扉を開く

深い紺色に染まる布を纏い
白い夢に臨む時の興奮だけ
どちらが先に染め入るのか
忘れて追いかけても待たず

そこまでもここまでも来て
折り返すには未だ早過ぎて
また

果ての有る無しの扉は開く

深き深き紺色に染め入いる


夜の俺の世界は


君のいる世界へ、走り去る




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